2012年11月3日土曜日

最近観た映画の感想など

お久しぶりです。


8月に夏バテを経験してからというもの、なかなか心身ともに調子が上がって来ない。特に最近は現在所属している場所からの猛烈な脱出願望とあいまって、相当厄介モノである。



先日『希望の国』を観た。
テーマはいわゆる3・11の出来事をそのまま地名を変えてドラマにしたもの。僕は、園子温監督の一部の作品が大好きなので、彼の作品は出るたびに映画館に足を運ぶ。下に雑感を述べて、今日は疲れたので寝るとする。

・園子温の作品の多くが、主人公が外部の抑圧的環境に耐え兼ねて堰が決壊し奇行に走るという同じ主題を持っていて、いわば作品ごとにそのようなテーマを様々な状況に置き換えて語っている。本作もそう。彼の作品を観ていると、途中で登場人物が非現実的なほど過剰な行動をすることがあって、その気味の悪さが彼の映画に対して好き嫌いが分かれる大きな要因だと思う。ただし、そういった奇妙な行動も抑圧の程度が強ければ納得することができる。 
 今回の場合、原発事故がまさにそういった外部環境なわけだが、僕はこれに対して今回はあまり上手くいってないと思う。物語の中でも、実際の日本と同様に多くの被災者を生み出したわけだが、このような状況で神楽坂恵だけが奇行に走るのは明らかにおかしい。同情の余地がない。

・この映画では、彼女の義理の母も同様に奇怪な行動をするのだけれども、認知症という設定によるもので、原発事故と関係がない。園子温映画では上述の「過剰」がピークに達したというときにメロウな交響曲のBGMと合わせるいう最近のお決まりがあって、今回はこの母の行動でピークを迎えるのだけれども、やはりその行動と原発自己に関係性がないので何ともお決まりが悪い。

・夏八木勲と大谷直子との老夫婦にしてアツアツなカップル演技には、やはり気味の悪さがあるのだけれども、お二人の演技力からか、何となくリアリティがあって悪くない。

・映像が凡庸で、あまり視覚にうったえてこない。ただし、途中の木杭が部屋を分断する観念的な描写はいかにも園子温らしい。


以上、ではおやすみなさい。